他人事ではない？リゾートマンションの惨状

越後湯沢のリゾートマンションの現状　１０万円でも売れない？

今から３０年程前、全国各地にリゾートマンションが出来ました。

私も東京で不動産会社をやっていた、ちょうどその頃、あるリゾート会員権を

販売する会社からの依頼を受けて関東周辺から関西方面、信州方面とリゾート

マンションを捜し歩いた時期がありました。

あちらこちらでリゾートマンションが新築され、高値で売買されていました。

越後湯沢にも行きました。初めて見た時は、壮大なリゾートマンション群に

驚きましたねー！

温泉やフィットネスクラブが常設されるなど、豪華な設備を競っていました。

全盛期には、越後湯沢に５８棟（約１万５０００戸）のリゾートマンションが

建設されました。

あれから約３０年、越後湯沢の現状が書かれている記事を最近目にしました。

１戸１０万円くらいで販売されていても、売れないと言います。

これは少し大げさにしても、高くて４００万円くらい、実際に１０万円という

売買金額を付けている物件もあります。

中には、「１８０万円払ってくれたら、引き取ってあげましょう」という

業者まで現れているとか、、。

あの頃２０００万円とか４０００万円とかしていたマンションが、わずか１０万円！

それどころかマイナス１８０万円！？

いったいどうしたのでしょうか？

その原因は、日本の少子高齢化とスキー人口の減少だそうです。

１９９３年には１８６０万人いたスキー人口が、２０１８年には４００万人にまで

激減しました。スノーボード人口２２０万人を合わせても、この２５年間で

ピークの３分の１です。

次に、このマイナス１８０万円の内訳を見てみると、月額５万円の管理費や

修繕積立金を２年間滞納していると仮定して１２０万円、部屋の中の

家具などの撤去費用で２０万円、部屋の清掃費で２０万円、不動産取得税

登録免許税などで（これは本来買主が負担すべき税金です）３０万円。

合計１９０万円となるらしいです。

つまり物件価格は、１０万円だけど、引き取り費用１９０万円と差し引き

マイナス１８０万円（売主が１８０万円払う）で買ってあげます（？）と。

こんなバカな話ってあるでしょうか？

多分、この業者は、このリゾートマンションを購入しても名義だけ誰かに変えて

何もせず（管理費や修繕費を払わず）ただ１９０万円を儲けるだけだと思います。

それでも持っているよりは、お金を払ってでも処分したいという所有者が

いるということですよね？

まさに不動産から負動産に成り下がってしまった感があります。

所有者の多くが管理費や修繕積立金の支払いを滞納しているそうです。

元々、設備や施設が豪華なリゾートマンションは、管理費や修繕費が高く設定して

あります。

月４～５万円位かかるのは、普通です。

管理費が支払われないとエレベーターや温泉施設の保守点検もできなくなります。

廊下の電灯すら変えてもらえない、清掃も行き届かなくなります。

ましてや大規模修繕など、夢のような話になってしまいます。

こうなると悪循環ですね。まじめに管理費や修繕費を払っていた人も、

スキーで利用しない人が増えるのに比例して管理費を支払わない人も増えてくる。

すると、マンションが急速にスラム化してきて価値が下がる。

今まで、まじめに支払ってきていた人も、これでは支払う意味がないと思い始め

支払わない人が増える。ますますスラム化するといった具合です。

ちょっと考えてみてください。

これって越後湯沢のリゾートマンションに限ったお話でしょうか？

「スキー客の減少」を、「日本の人口減少」に置き換えてみたらどうなりますか？

この続きは、また次回でやります。