新築住宅への太陽光発電義務化の是非
新築住宅への太陽光発電義務化は、妥当なのか?
太陽光発電義務化の問題点
まず静岡新聞8月11日の記事から一部抜粋してご紹介します。
”政府の有識者検討会は10日、建物の脱炭素化に向けた対応方針案を大筋で了承した。
新築住宅、小規模ビルも2025年度から省エネ基準への適合を義務付ける。
太陽光発電設備は、30年に新築一戸建て住宅の6割に設けることを目指し、将来の
設置義務化も「選択肢の一つとして検討する」と明記した。
政府は来年の通常国会へ関連法改正案を提出する考えだ。”
となっています。
これは国や自治体が公共建築物をつくる場合は原則として太陽光発電設備を設置し、
再生可能エネルギーの導入量を増やし、新築住宅は太陽光の設置の義務化は見送りと
なりましたが、断熱材の活用など省エネルギー基準の適合を義務付けるというもの
です。
ただ上記の記事のように、新築住宅への義務化が完全に消えたかといえば、そうでは
なく将来的には再検討もあり得るというように読めます。
私も太陽光発電の義務化には、懐疑的です。自然エネルギーを使うといえば聞こえは
いいですが、よくよく調べてみますと、そこには多くの問題が残っています。
以前と比べれば太陽光パネルは安くなりましたし、CO2排出量は少ないと言われて
いますが、買取単価は割が合わないほど低下しており、自家消費向けに蓄電池も導入
しないといざという時に利用ができなくなる可能性があります。
まずそれらを設置するイニシャルコストが高いことと、その投資額に見合うだけの
回収が見込めない現状では、もし義務化してしまうと住宅取得にも影響が出ることも
懸念されます。
またあまり知られていないようですが、太陽光発電にはさまざまな方式があり、
いま最も安価で大量に普及しているのは結晶シリコン方式です。
そして世界における太陽光発電用結晶シリコンの80%は中国製です。
そして、そのうち半分以上が新疆ウイグル自治区における生産であり、世界に占める
新疆ウイグル自治区の生産量のシェアは実に45%に達しています。
高いシェアの理由は、安価な電力、低い環境基準、そして低い賃金で成り立っています。
結晶シリコンの生産には大量の電力が必要で、ウイグルでは安価な石炭火力で賄っており
製造工程で大気・土壌・水質に悪影響が生じますので、規制が厳しいとコスト高の
要因になります。
さらに強制労働の疑いが高いとされている低い賃金です。
このような現状を変えないまま、彼らの犠牲のもと、太陽光発電の義務化を安易に
推進していいものかどうか大いに疑問があります。