収益物件を売りたい時に考えること NO4
収益物件の価格査定のやり方について
価格を決めるポイントは?
収益物件の価格査定について
収益物件の価格査定を行う場合に用いられる査定法は、大きくいって
3つあります。
1.収益還元法
2.積算法(原価法)
3.取引事例比較法
このうち取引事例比較法を用いるのは、分譲マンションの1室とかの収益物件の
場合で、一棟マンション売りの査定では、ほとんど取引事例比較法は使いません。
1の収益還元法については、年間賃料収入÷利回りで計算します。
(この利回りも表面利回りや実質利回りでの計算やDCF法などがありますが、今回は
わかりやすい説明に留めます。)
2の積算法は、土地と建物の原価を基にする考え方で、土地については、路線価格で計算
する場合が多いと思います。(エリアによっては公示価格その他で計算する場合もあり)
建物は、現在同じ建物を建てるとしたら、いくらかかるのかという「再調達価格」を
築年数に応じて減価償却した価格となります。
物件の担保力を評価するにあたって、積算価格を重視する金融機関
もあります。
この辺りの計算方法は、専門的になりますのでまた機会があればやりたいと思います。
今回はこんな計算方法で一般的には査定されているとご理解頂ければ良いと思います。
価格に影響を与えるポイントは?
ちょっとわかりにくい説明になりましたので、誤解を恐れずに簡単に言えば、
収益物件の価格を決めるポイントの一番は、やはり「利回り」だと言えます。
年間にいくらの収益を上げている物件なのかということが一番重要になります。
ただし、この利回りも築年数やエリアによって一律ではありません。
築年数が10年のマンションと30年のマンションでは、設定利回りは
変わって来ます。
築年数が新しいものであれば、利回りが7~8%くらいでいける場合も
ありますし、築年数が古くなれば12~13%以上をを要求される場合もあります。
この築年数と関連して建物の構造も、鉄筋コンクリートと木造では、耐用年数が
違いますので同じ築年数が15年でも評価は全く変わって来ます。
もう一つは、担保評価額がどれくらいなのかを見極めることだと思います。
ほとんどの購入者は金融機関の融資を使います。
金融機関ごとに融資審査は違いますし、現在のように融資審査が厳しくなっている
時は特に物件の担保評価額がどれくらいあるのかを正確に見極めることがポイントと
なってきます。
担保評価額というのは、銀行がいくらくらいまで貸してくれるのかという目安です。
この担保評価額がある程度予想できますと、売主の希望売却価格との乖離が
どれくらいあるのかが、おおよそわかります。
そして、担保評価価格と希望売却価格との差を自己資金で埋めることができる
買い客がいるかどうかを判断します。
あまりにも、この乖離があり過ぎると価格は高すぎるということになり、
市場で受け入れてもらえません。(いわゆる晒し物件となります)
この辺りの見極めが、出来るかどうかで不動産業者の力量が試されます。
法人や相続税対策で買うような資金力のある買主を探すのか、キャシュフローを
狙う買主が合うのかを選別し、的確な顧客へ正確な情報を提供することが大切に
なります。
もちろん購入者の属性によっても、融資額は変わりますが、ある程度の目安が
わかって価格を決めるのと、それを知らないで価格を出すのとでは、
結果が変わって来ますし、結局売主さんに損害を与えることになるからです。
また、近いうちに、このテーマでもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。