繁忙期 ワンルームの入居者がいない?
なぜ東京のワンルームの空室率が高くなったのか?
コロナの影響だけではないかも?
不動産賃貸市場では、毎年1月中旬くらいから3月までが一番の繁忙期と
言われています。
これは、入学、就職、転勤などで住まいを求める人が多く発生するためです。
特に一人暮らしをする学生や新社会人の方は、経済的な事情からもワンルームマンション
を希望されます。
しかし、ここに来て東京のワンルーム賃貸市場では、ワンルームが余っているとか、、
この現象は、今年に入ってからというより昨年から言われていることです。
関連するデータから考察してみますと、、
世帯数では、東京23区は、2019年度が前年比7万4423世帯増えたのが、
2020年度が同1万84世帯増と増加幅が大きく減少しています。
東京市部が、19年度が同2万2899世帯増に対し、20年度は同程度の
同2万1639世帯増とあまり変化が見られないことと比べると東京都心部
の減少が特に大きいことがわかります。
これに対して貸家着工数(供給数)は、東京市部はコロナ前、コロナ禍中で需要と
供給のバランスに大きな変化がないのに対し、東京23区は、世帯数の増加幅が
大きく減少しているのに対し、貸家着工数はコロナ禍においてもコロナ前と同水準で
推移しています。
つまり、世帯数という需要が減っているのに貸家着工数という供給が変わらないの
です。これでは、物件が余って来ます。
さらにテレワークが進んだことにより、「もう1部屋欲しい」または、「家賃が同程度
なら郊外に引っ越して広い家に住みたい」という人も増えました。
東京23区の間取り別空室率の推移を見ると、20年中旬から単身者向けである
ワンルームと1Kの空室率だけが急上昇していることが分かります。
実際に1LDK以上の間取りでは、空室率にそれほど変化はありません。
これは、コロナの影響で学生がオンライン授業になって実家に戻ったり、コロナの
影響を大きく受けた飲食・サービス業に従事する人や非正規雇用者の家賃負担能力が
低下したことなども影響としていると考えられます。
また、法人の地方からの転勤者が減少していることも挙げられるでしょう。
東京と地方では事情が違いますので、今のところ地方には、影響がないように
見えますが、これからマンション・アパート経営をしようとされる方は
このように需要と供給のバランス、コロナ後の社会の変化までを想定して間取りを
考えなければいけない時代だと思います。