「相続放棄」「相続廃除」「相続欠格」の違いは?
「相続放棄」「相続廃除」「相続欠格」の違いとは?
代襲相続と法定相続人の関係とは?
前回の不動産ブログで、予告しましたように今まで見て来た「相続放棄」「相続廃除」
「相続欠格」の違いについてまとめてみます。
まず「相続放棄」相続人の意思により、すべての財産の引き継ぎを放棄することです。
ここでいう「すべての財産」とは、現預金や不動産、債権といったプラスの財産だけで
なく、借金や未払税金などのマイナスの財産も含みます。
詳しくは令和2年10月5日のブログをご覧ください。
https://mikata-f.com/contents/2690
では、それぞれの違いについてですが、まずは「代襲相続」に関してです。
相続廃除や相続欠格の記事の中でも触れていますが、改めて見てみます。
まず代襲相続とは、簡単に分かりやすく言うと、本来相続人になるはずの人が死亡など
の理由で相続できないときに、その人の子が代わりに相続する制度です。
ケースによっては、いろいろな代襲相続が生まれますが、ここでの説明は省きます。
「相続欠格」「相続廃除」は違法行為や被相続人の意思により相続人から相続権を
剥奪されることです。
相続人本人の意思とは関係ない事情による相続権の喪失であるため、「死亡」と同様に
扱われます。
その結果、代襲相続が発生し相続欠格・相続廃除となった相続人の子どもが
代襲相続人となって相続権を取得できることになります。
一方、「相続放棄」は相続人の意思によって行われます。
相続放棄の場合は、最初から「その相続人が存在しなかった」ものとみなされます。
そのため「存在しない人の子どもも、また最初から存在しなかった」と扱われるため、
代襲相続は発生しません。
次の違いは「法定相続人」となれるかどうかです。
相続税の基礎控除額の計算は。3,000万円 +(600万円×法定相続人の人数)
で決まりますので、この相続人の人数にカウントされるかされないかで
基礎控除額が変わって来ます。
「相続欠格」「相続廃除」は死亡と同様に扱われます。そのため法定相続人として
カウントされません。
しかし「相続放棄」は、その相続放棄がなかったものとして扱われ、法定相続人として
カウントされます。
誤解を招きやすいので、もう少し詳しく説明しますと、
相続放棄があっても、相続税の基礎控除額の計算上は、相続放棄した法定相続人を
除かずに計算します。
例えば、法定相続人が3人いて、そのうちの1人が相続放棄をしたとします。
その場合も、法定相続人は3人として計算して、基礎控除額は4800万円になります。
この原則は、相続放棄者が何人でも変わりありません。
欠格や廃除で相続人でなくなった人は、基礎控除額や生命保険金等の非課税限度額の
算定の基礎となる法定相続人の数にもカウントしません。
しかし、欠格者や廃除を受けた人に子がいれば、代襲相続が可能となることは、
上でご説明しました。
その場合、代襲相続人の人数は、基礎控除額の算定の基礎となる法定相続人の数に
カウントされます。
欠格者や廃除を受けた人に子が複数いる場合は、欠格や廃除があることによって
法定相続人の数が増えて、結果的に、基礎控除額や生命保険金等の非課税限度額も
増えるという矛盾したことも起こり得るのです。
最後に、相続放棄・相続欠格・相続廃除のいずれについても「遺留分」も含めて
遺産を受け取ることはできません。