家賃滞納・夜逃げを防ぐには?
賃貸借契約書の自力救済条項は、有効か?
家賃滞納・夜逃げを防ぐには?
自力救済特約は、無効?
前回のブログでは、入居者が残置していった家具などの処分手続きについて
触れました。
そこで、こんな質問がありましたので、ちょっと調べてみました。
それは、賃貸借契約書の中に「賃借人が賃料を滞納した場合には、賃貸人は
賃借人の承諾を得ずに建物内に立ち入り、家財などの処分をすることができる。」
などと書いてあれば、その条項が優先されますか?という質問です。
東京地裁平成18年5月30日判決は、賃貸借契約において、①賃借人が賃料を滞納した
場合、賃貸人は、賃借人の承諾を得ずに本件建物内に立ち入り、適当な処置を
とることができる②賃借人が賃料を2ヶ月分以上滞納した場合は、賃貸人は賃借人に
対して何らの通知、催告なく本件賃貸借契約を解除することができる旨定められていた
ケースで、管理会社の従業員が、賃借人が2ヶ月分以上賃料を滞納していたことから
賃貸借契約を解除した上で、賃借人の不在中に賃貸物件内に立ち入り、
侵入防止のための施錠具を取り付けるなどした行為について、本件特約は、
『法的手続によったのでは権利の実現が不可能又は著しく困難であると認められる
緊急やむを得ない特別な事情』があるといえない場合に適用されるときは、
公序良俗に反して、無効である、と述べ、本件立ち入り行為について賃借人の
本件建物において平穏に生活する権利を侵害する違法な行為というべきで
あるとしました。
その他の判例も、自力救済条項が賃貸借契約書に定められていた場合でも
勝手に家財などを処分すれば違法になると言っているケースがほとんどです。
自力救済については、前回のブログ「入居者が残していった家財の処分について」を
お読みください。
法に則って処理しようとすれば、前回のブログで書きましたように、
長い時間とお金をかけて処理をするしかないということになります。
家賃滞納や夜逃げを防ぐ方法としましては、基本的なことですが、
1.信頼できる保証会社を使う
2.入居前の審査を厳しくする(入居希望者や保証人の支払い能力、生活状況等)
3.日頃から入居者の変化に気を配り、コミュニケーションを取っておく
4.1か月でも滞納があれば、入居者に連絡をし事情を把握、または相談にのる
このような点からも管理会社に丸投げしないで、自分で所有物件の清掃や入金管理を
している大家さんの方がこういったトラブルは少ないように思えます。
それでも、トラブルが起こってしまったら、出来る限り早い段階で対処を
するということが鉄則ですね。