終身建物賃貸借制度について　　その１

終身借家権とは？

終身建物賃貸借契約制度というのを聞いたことがあるでしょうか？

不動産業者でもこの制度についてあまり知らない人が多いのではないでしょうか？

というのもこの制度は、広く世間に認知されているとは言い難いからです。

これは「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき2001年に創設された制度で、

高齢単身者・高齢夫婦などが終身にわたって安心して暮らせる住宅の確保を目的と

しています。

高齢を理由にアパート・マンションへの入居を断られる事例が後を絶ちませんが、

終身建物賃貸借契約というのは、字の通り賃借人は生涯同じ家で安心して生活でき

賃借人が生きている限り存続し、死亡時に終了するという借家契約なのです。

高齢者が対象の制度ですので、終身建物賃貸借契約を結べる賃借人の年齢は60歳からで

単身者だけでなく同居人の入居も可能で、賃借人の配偶者は60歳未満でも

可能ですが、親族の場合は賃借人と同じく60歳以上が適用となります。

また、一代限りの契約であるため、死亡時に相続は発生しません。

相続が発生しないということは、入居者が亡くなってしまったとき、普通賃貸借契約

だと、その時点では契約が確実に終了したと言えませんので、居室に立ち入ることが

できない場合があります。

また、契約を解除するためには、入居者の相続人を探し出し、相続関係が確定して

いない場合は、相続人全員に対して解除の申し入れも行わなければなりません。

このような大家さんにとっての面倒がないということにもなります。

但し、この制度を利用するにあたっては賃貸人は自治体に事業認可申請書を提出し、

認可を受ける必要があります。

その認可を受けるにはバリアフリーにするなど条件があります。

このあたりが、普及しない一つの理由かもしれません。

平成２８年時点で全国で１万戸にも達していません。浜松市に至ってはこの制度を

利用した賃貸物件は、市内にたった１件しかありません。

長くなりましたのでこの続きは次回の不動産ブログに引き継ぎます。