建物完了検査をリモートで
なぜリモート検査を行うのか?
対象の住宅は40万件?
6月25日の日本経済新聞の記事からご紹介します。
記事では国土交通省が戸建て住宅や小規模な集合住宅の工事が終わったときに実施する
新築の検査をリモートでもできるようにするというものです。
まず建物完了検査は建築基準法で実施を求めており、事前に申請した通り建物が
建てられているかどうかを確認するものです。
地震や火災などに対する安全性や住まいの快適さなどについて、基準を満たしているか
どうかを調べます。
その検査において今までは、建築会社と検査機関の担当者がどちらも現場にいる必要が
ありました。
つまり、建物の施工管理者といった現場の担当者 と検査機関に所属する1級建築士など
の検査者の最低2人が現場にいて検査を実施していたのです。
ところが、これを国の指針では検査機関が認めた「検査補助者」のみが現場にいれば
リモートでも検査が可能になるのだそうです。
リモートで検査する場合、この補助者のみ現地に行き、現場担当者と検査者の2人を
ウェブ会議システムでつなぎ現場の映像や音声を共有し、寸法の計測や設備の動きを
確認するということです。
しかもこの補助者は完了検査について一定の知識があれば、アルバイトや派遣社員でも
OKだそうです。
対象となるリモート検査は年40万件にもなるということですが大丈夫なのでしょうか?
なぜこのようにリモートに頼るのかと言えば、そう例のあれです。
2024年4月から残業規制が強化されたことにより少ない人数で現場を回さなくて
いけなくなったのです。
リモートで1日に検査できる現場が増えれば、少ない人数で効率良く仕事が進むと
いう訳です。
更には検査を担当する1級建築士の高齢化の問題もあります。
国交省によりますと2008年に1級建築士のうち60歳以上の割合はおよそ12%だったの
ですが21年には43%にまで割合が高まっているということです。
人出不足と高齢化、人の命に係るような住宅検査にまで影響が出るということです。