相続した不動産は、離婚の際の財産分与になるのか？

遺産は、財産分与の対象か？

あるお客さんから婚姻期間中に相続でもらった財産は、離婚の際に財産分与の対象と

なるのか？という質問を受けましたので、このブログでも取り上げてみたいと思います。

まず財産分与とはどういうことでしょうか？

財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚の際に公平に分配する制度です。

これは夫婦が婚姻中に共同で形成した財産は、実質的に夫婦の共有財産ですので、

離婚時には清算しましょうということですね？

ほかにも、慰謝料的財産分与とか扶養的財産分与もあります。

扶養的財産分与というのは、専業主婦など、離婚により経済的に弱い立場に置かれる

配偶者が、離婚後、経済的に自立できるだけの期間の援助という趣旨で支給されたり

するものです。

慰謝料的財産分与は、不倫など配偶者の有責行為によって離婚になった場合に

精神的な苦痛を償うための慰謝料を配偶者に請求したりするものです。

夫婦の財産は、夫婦が協力して形成したとされる共有財産と夫婦の協力とは関係なく

形成した特有財産に分けられます。

結婚前に有していた財産は「婚姻中に共同して形成した財産」にはあたらないので

特有財産ということになります。

そして、もうお分かりのように亡くなった親から相続した遺産は特有財産なので、

原則として財産分与の対象にはなりません。

遺産の他に親から援助を受けた住宅購入の資金や別居した後に取得した財産なども

特有財産として扱われます。

但し、民法の原則では遺産は財産分与の対象ではありませんので拒否することは

もちろん可能ですが、離婚をする際には、財産分与の割合や方法などを自由に

決めることができます。

したがって、夫婦間合意をする場合には、遺産を財産分与の対象に含めることも

可能ですので、念のため。