家賃滞納に伴う追い出し条項は違法
最高裁初判断 滞納者追い出し条項はダメ!
家賃保証会社との契約条項に問題
12月12日、借り手が家賃を2カ月滞納し、連絡がつかないなどの事情があれば、
家賃保証会社が「部屋は明け渡された」と扱える――。
こうした契約が消費者契約法に違反するかが争われた訴訟の上告審で、最高裁は、
これを「違法」と認めました。
詳しく見てみましょう。
問題になった契約書の条項は、、、
”第18条(賃借人の建物明渡協力義務)
2項 保証会社は,下記のいずれかの事由が存するときは,賃借人が明示的に異議を述べない限り,これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができる。
2号 賃借人が賃料等の支払いを2カ月以上怠り,保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ,かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するとき
以上のほか,本件建物の明渡しがあったものとみなされた場合には,本件建物内に残置された動産の搬出・保管に異議を述べないこと,搬出の日から1か月内に引き取らないものについて所有権を放棄し,処分に異議を述べないこと,保管料として月額1万円(税別)及び搬出・処分に要する費用の支払い義務を認める”
つまり、この契約では、、
下記の4要件を満たせば物件を明け渡したとみなし、家財を搬出・処分できると
なっています。
①家賃を2カ月以上滞納
②借主と連絡が取れない
③電気や水道などの状況から建物を相当期間使っていない
④客観的に見て再び住む意思がない
原告のNPO法人消費者支援機構関西は、「4要件は建物明け渡しの
強制執行などの運用に反し、条項は居住権と適正手続きの保障という2つの重要な
権利を侵害している」、「借り主の権利を侵害する実力行使は消費者契約法に反する」
と主張していました。
これに対し、相手方となる家賃保証会社側は、「4要件を満たせば借り主に明け渡す
意思があると合理的に推認できるので『追い出し』に当たらない」と主張し、
請求の棄却を求めていたのです。
1審大阪地裁判決は、条項は「賃貸契約が終了する前に貸主側が自力救済する行為で
違法だ」として、差し止めを命じのに対し2審大阪高裁判決は、条項には
「相応の合理性がある」として原告の請求を退けたのです。
そして、今回の最高裁では「条項は(民法の)信義則に反して消費者の利益を一方的に
害している」と指摘し条項の使用差し止めも命じました。
実務をやっていれば、悪質な賃借人が存在するのも事実です。
心情的には、この保証会社の言い分も理解できない訳ではありませんが、
ちょっと強引すぎましたかねー?
大家さんにおかれましては、事前の入居申込の段階で厳しく精査することが
大切だと思います。