不動産業者の立ち退き交渉は非弁行為?
不動産業者が行う立退き交渉は違法?
ポイントは報酬の有無?
前回の不動産ブログで非弁行為について取り上げましたが、今回はその補足です。
不動産業者が行うことで、最も非弁行為に該当すると言えるのは立退き交渉では
ないでしょうか?
前回のブログでも触れましたが、弁護士法違反になるかどうかは、
(1)その依頼の内容がどのようなものであるか(「法律事件」であるか否か)
(2)その依頼に対し、不動産業者がどのような対応をしたか(その対応の内容が
「法律事務」を行ったといえるか否か)
(3)不動産業者がそれらの行為を「報酬」を得る目的で行ったかどうか
(4)「反覆継続」する意思で行ったのか(「業」として行ったのか)、という
4つの要件に該当するかどうかで判断されます。
「立退き交渉」に関する業務が、弁護士法第72条で禁止している「法律事件」に関する
業務に該当するかどうかについて、判例は、「賃貸人の代理人として、その賃借人ら
との間で建物の賃貸借契約を合意解除し、当該賃借人らに建物から退去して明渡して
もらうという事務をすること」が該当するとしています。
(広島高判平成4年3月6日判時1420号80頁)
また、不動産業者が、賃借人との間で立退き交渉を行った結果、そのまとまった内容を
契約書にする行為のように、法律上の効果を保全・明確化する事項の処理も
「法律事務」に該当するようです。
さらに、判例は、(3)の「報酬」を得る目的があったか否かについて、
「報酬を受けるについては、必ずしも事前に報酬支払の特約をした場合に限らず、
処理の途中あるいは解決後に依頼者が謝礼を持参するのが通例であることを知り、
これを予期していた場合でも、報酬を得る目的があるというを妨げない」としています。
(東京高判昭和50年1月21日東高刑時報26巻1号4頁)
また、報酬は、事件を依頼する者から受け取る場合に限らず、第三者から受け取る
場合であってもよいと解されるということです。
重要なのは報酬の有無、そして実質的に賃貸人の代理人として行動しているかどうか
です。
名義だけで形式的に判断するのではなく、実質的に代理人として行為をしたかどうかで
判断されます。
このように立退き交渉については、不動産業者が行うとかなり非弁行為に該当する
可能性が高いようですから弁護士に依頼した方が無難かも知れませんね?