建物の安全性に問題が、、大家さんの責任は?
賃借人と「大家さんの責任を問わない」という合意書を交わしていたら?
大家さんの責任は、免れません!
6月21日の不動産ブログで書いた記事の補足です。
その記事を読んでくれた方から、こんな質問がありました。
「うちの借家は、お年寄りの1人暮らしの人が入居していて、他に移る所もないから
ここに死ぬまでいたいと言っている。地震が起こってケガや亡くなっても一切大家さん
の責任を問いませんという念書を書いても良いとその入居者は言っているけど、
それで大丈夫なのか?」
というような内容でした。
以前、私は今回と同じようなテーマのセミナーに出席した時に、講師である弁護士さんに
似たような質問をしたことがありました。
その講師の弁護士さんの答えは、「たとえ賃貸人と賃借人の間で念書や合意書などを
交わしてあったとしても、それは無効だ」とのことでした。
民法717条の条文で「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって
他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害賠償する
責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、
所有者がその損害を賠償しなければならない。」とされているからだそうです。
ここでいう瑕疵とは通常備えているべき性質や設備を欠いていることをいいます。
つまり安全性に問題があるような状態のことです。
これは、地震だけではなく台風などの自然災害も含みます。
たとえ安い賃料でも老朽化して主要構造上に問題があるような建物を貸している
大家さんは万一の時、とんでもないことになってしまいます。
また、そこまで古い建物ですと、補強工事を行うよりも建替えた方が、かえって
安上がりになるケースの方が多いかも知れません。
入居者の立退きという問題もありますが、そのようなリスクを抱えた大家さんは、
早急に建替えや売却に動いたほうが良いと思います。