相続廃除とは?
相続人の廃除について
相続廃除が認められるケースは少ないかも?
一般の方は、あまり聞きなれない言葉かと思いますが、今回は「相続廃除」について
お伝えします。
相続人の廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、
またはその他の著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して
虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。
この申し立ては、被相続人が生前か遺言書でしかすることは出来ません。
簡単に言いますと、これは「相続権はく奪」の制度です。
被相続人の恣意がないよう家庭裁判所が審判で廃除の是非を判断します。
具体的に見ていきますと、著しい非行というのは、
・被相続人の財産の不当処分
・賭博を繰り返して多額の借財を作りこれを被相続人に支払わせた
・浪費、遊興、犯罪行為、暴力団や極端な右翼団体・左翼団体および反社会的な
カルト宗教など反社会集団への加入・結成、異性問題を繰り返すなど親泣かせの行為
・重大な犯罪行為を行い有罪判決を受けている(過去の判例からの一般論としては
5年以上の有期懲役、無期懲役または死刑に該当するような犯罪行為)
・相続人が配偶者の場合には婚姻を継続しがたい重大な事由愛人と同棲して家庭を
省みないなどの不貞行為
・夫婦関係の事実が存在しない(遺産目当てに戸籍上の夫婦になった場合など)
相続廃除に対して家庭裁判所は、慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が
認められた事例はそれほど多くありません。
判決事例を見ても、相当な暴力や悪質な犯罪を犯さないと認められないケースが
多いようです。
また、相続廃除は遺言で行うことも可能ですが(民法893条)、推定相続人が
異議申立てをすると認められない場合がほとんどであり、推定相続人が一切の異議を
申し立てないか、重大な犯罪行為を犯して刑務所や少年院などの矯正施設
(児童自立支援施設を含む)に収容されているようなことがなければ、
相続権が剥奪されることは稀です。
更に相続人の廃除された相続人は相続権を失うこととなりますが、
その相続人の子が代襲相続人となって相続することとなります。
つまり、自分の子供を廃除したとしてその子供に子供がいれば
(被相続人からみて孫にあたる人)その人が相続することとなってしまうのです。
このあたりも、相続廃除が現実的ではない理由と言えるかもしれませんね。