自筆証書遺言の保管制度について
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言の保管制度について
遺言書のチェックまではしてくれない?
令和2年7月から自筆証書遺言を法務局で預かる制度が新設されました。
自筆証書遺言とは、その名のとおり遺言者本人が自分で作成する遺言書のことです。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがありますが、
一般的なのは公正証書遺言か自筆証書遺言です。
今回は、この中の自筆証書遺言について大まかなことを書いてみます。
自筆証書遺言は、遺言者本人が、自分自身で書くこと、日付を記載して
署名・捺印することが基本です。
ただし、これまで自筆証書遺言は、遺言者が全て手書きで作成する必要がありましたが、
2019年1月から「財産目録」についてだけは、パソコンで作成しても良いと
いうことになりました。(通帳のコピーで預金を特定させることや登記事項証明書の
コピー添付もOK)
自筆証書遺言のメリット
・手数料もかからず手軽に作成できる
・他人に財産内容や遺言の内容を知られない
自筆証書遺言のデメリット
・遺言書の存在自体、相続人に気づかれない恐れがある
・要件を満たしていない遺言書だと無効になってしまう
・だまされて書かされたとしても相続人が気付きにくいなど
ここでいう無効になってしまう書き方の例では
・自宅を長男○○に相続させる → 自宅という言葉では不明確
・住居表示ではダメ → 地番や家屋番号での記載が必要
・○○銀行の定期預金は長男と長女で分けなさい → どのような割合でわけるのか?
・作成日令和2年10月吉日 → 令和2年10月15日としっかり書かないと無効
・「○○へ託します」「○○に管理させる」もダメ
など、遺言書作成には一定の知識が必要になりますのでご注意ください。
法務局へ預ける制度についてですが、自筆の遺言書を住所、本籍地、所有不動産の
いずれかを管轄する法務局へ必ず本人が持参して申請手続きを行います。
(顔写真のある本人確認書類 免許証など 住民票なども必要)
手数料は3900円です。
遺言書が保管されると保管証が法務局から交付されます。
原本閲覧は本人のみ可能で、保管の撤回も可能です。
この制度は、家庭裁判所の検認が不要となる点で銀行預金払い戻しやその後の
相続登記等の遺言執行の迅速な処理を行えるようにできたものです。
注意しなければいけないのは、
法務局では、内容が適正かまではチェックされません。
つまり、法務局では使える遺言の内容か否かまではチェックされないということです。
(ある程度、法律上の要件を形式的に満たしているかどうかは確認してくれる
ようですが、事前に専門家のチェックを受けた方が無難だと思います)