「相続放棄」を勘違いしていませんか? その2
相続放棄と財産放棄の違いとは?
財産放棄の注意点は?
財産放棄では、債務は消えない?
前回の不動産ブログで相続放棄の勘違いについて書きましたが、今回はその補足です。
相続放棄とは、家庭裁判所に申述をして、相続放棄が認められると
「最初から相続人でなかった」という扱いになると前回ご説明しました。
もう一つ「財産放棄」(遺産放棄)という言葉と勘違いされる方もいらっしゃいます。
財産放棄というのは、相続人の間で話し合いをして「私は財産を相続しません」と
いうものです。
つまり、「遺産分割協議書」にその旨を記載します。
ここで、注意が必要なのは、家庭裁判所で行う「相続放棄」というのは、
プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄したことになります。
しかし、「財産放棄」では、たとえ「財産を放棄します」と言っても、債務からは
逃げられないということです。
亡くなった被相続人に多額の借金がある場合などは、債権者からの請求は止まりません。
ですので、相続財産に多額の借金があることがわかっている場合は、
家庭裁判所に申述して「相続放棄」という手続きをしないと大変なことになって
しまいます。
また、「借金がどれだけあるかわからない」「プラスの財産とマイナスの負債の
どちらが多いかわからない」というときには、「限定承認」という手続きも
あります。
これは、複雑な手続きが必要となりますので、また別の機会にご説明したいと思います。
「限定承認」というようなものもあるということだけ覚えておいてもらえれば
良いと思います。
最後に、前回の相続放棄で言い忘れたことがあります。
それは、相続放棄をするまでの間に下記のような行為をすると「単純承認」と
見なされて相続放棄が出来なくなりますのでご注意ください。
・不動産、動産、その他の財産権の譲渡
・家屋の取り壊し
・預貯金の解約・払戻
払戻・口座解約しただけでは一律に「処分」にはあたりませんが、払戻金を
自分のために消費した場合は相続財産の処分に該当してしまいます。
・債権取立て
・被相続人の株主権行使
・遺産分割協議に参加した場合(単純承認に当たるケースもあります)
・賃貸物件の賃料の振込先を自己名義の口座に変更した行為
不安でしたら、相続に強い司法書士、相続アドバイザーにご相談することを
おススメします。