不動産売買の解約について その2
手付解除とは?
手付金はあったほうがいいの?
前回に続きまして不動産売買の解約について書いてみたいと思います。
白紙解約については、5月7日の不動産ブログに書かせていただきましたので
今回は、手付解除についてです。
「手付解除(解約)」
これは、契約時に授受する手付金の損失だけを覚悟すれば、一方的な都合で
売買契約を解除できるというものです。
相手側に対して、特に理由を細かく説明して納得してもらう必要もありません。
もう少し詳しく言いますと、手付金には3つの種類があります。
(1)解約手付
売買契約を解除することができる手付けのことをいいます。
(2)違約手付
売主、買主いずれかに売買にあたり違反行為があった場合に、損害賠償とは
別に違約のペナルティーとして受け取ることができる性質を持つ手付金のこと
(3)証約手付
契約が締結したことを証明する目的で交付する手付金のことをいいます。
不動産売買の場合、通常は手付金といえば(1)の解約手付を指します。
この手付金ですが、不動産業者が売主となる売買においては、受領できる手付金の
金額は売買金額の20%までです。
個人が売主となっている売買契約の場合は、手付金に関する制限は適用されません。
解約手付によって、契約が解除されますと、どうなるのかの例をあげてみますと
手付金が200万円だった場合
買主が手付解除した場合は、支払った200万円の手付金が売主に没収される
ことになります。
売主が手付解除した場合は、もらっている200万円を返して、200万円を
支払うということになります。これが、よく言われている「手付の倍返し」です。
また、この手付解除は、民法上は「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」が
期限となっています。
契約の履行の着手とは、物件の引渡しや所有権移転登記などは、当然該当しますが
リフォームをしたり、取り壊したりといった工事に着手しているような場合も
原則的には手付解除が成立しなくなる可能性が高いと思われます。
この「履行の着手」の要件をめぐっては、トラブルや裁判になるケースも
多く見受けられました。
そのため、現在の全日本不動産協会の売買契約書では、手付解除ができる日
(手付解除期日)を決めて、その相手方の契約の履行着手の有無にかかわらず
その期日までであれば解除できるようになっています。
また手付解除の場合は、仲介手数料の請求権は消滅しませんので、別に仲介手数料
を請求されることになります。
最後に、あえて手付をもらわず、解約手付を認めさせないケースもあります。
手付金がないわけですので、手付解除がありません。
従って契約を取りやめたいとなった場合には、次回でご説明する違約金が
かかるようにする場合もありますので、ご注意ください。
この点でも、信頼できる業者に依頼することの大切さがあります。