民法大改正で変わること その3
契約不適合責任における契約書について
契約で気をつける点は?
これまで、来年の民法改正によって新設される契約不適合責任について
見て来ましたが、単純な文言の変更などではなく、ルールの骨格が根本から
変わる大改正ですので、理解するのが大変です。
そもそも、消費者保護に重点を置いていますので、どうしても売主側に
厳しい内容になっているように思えます。
また、契約不適合責任は、任意規定となるため、契約上での調整が
必要となります。
予想される問題点を考えてみましょう。
まず、売主側にとって一番良いのは、売主が契約不適合責任を負わないとする
条項にすることですが、買主が納得しなければ契約がむずかしくなるでしょう。
買主が納得できる範囲で、なるべく売主の責任の程度を軽くしつつ、金銭面や
条件面で譲歩しながら交渉するというようなことが起きてくると思われます。
売主が、物件引き渡し後に契約の不適合を指摘されて思わぬ請求を受けない
ためには、契約書の内容を明確にしておく必要があります。
しかし、この「契約の内容」がどのようなものかという点で、争いが
起きやすくなるのは間違いないでしょう。
細かいところまで、文字で一言一句条文にすることは不可能だからです。
前回のブログで書きましたように、買主が物件を購入する目的や動機などにも
責任が及ぶことになりますから、こういった点も契約書に盛り込むことに
なると、より複雑な内容となってきます。
特に建物付きの売買では、付帯設備表や物件状況報告書(告知書)が、
より詳細になり、この重要性が今後ますます上がると思われます。
売主立会いのもと、これらを作成することになるかもしれませんね。
買主が持つ「追完請求」「代金減額請求」「損害賠償請求」「契約解除」
の権利について売主がどこまで責任を負うのか、契約条文をより精査しないと
いけません。
大型物件には、弁護士などのリーガルチェックも必要不可欠になるでしょう。
我々不動産業者にとっては、より慎重で丁寧な交渉、そして事前の調査、
契約書作成の重要度が増すことになるのは確実です。
今後も、よく勉強をしてお客様にご迷惑をおかけしないように細心の
注意を払いたいと思います。