相続税評価 路線価か実勢価格か? その2
今回の裁判の問題点とは?
路線価で評価してもダメなんですか?
前回の不動産ブログの続きです。
そもそも相続税の土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
この路線価というのは、簡単に言ってしまうと毎年7月頃に国税庁が発表する
各道路に値段がついているものです。
この路線価がない地域は、倍率方式で計算します。
これらが、土地の相続税を計算する基になります。
この路線価は、おおよそ公示価格の80%となっています。
公示価格とは、公的機関が毎年公表している土地の基準となる価格のことです。
ついでに実勢価格とは、売買する時に実際に取引される価格のことで、当事者間で
決めるものです。つまり、実際の売買価格とか相場と言えます。
場所によっても違いますが、通常は公示価格よりも実勢価格の方が高くなる傾向が
あります。
つまり、相続税の評価をする時は、元々の土地価格(実勢価格)よりも20%以上は
安い価格で評価していいですよと国は言っているのです。
では、これらを踏まえて今回の裁判で問題となっていることはなんでしょうか?
(訴訟の内容は、前回ブログをご参照ください)
ものすごくわかりやすく言ってしまいますと、原告側(相続人)は、正しく路線価で
相続税額を計算したのに、国税局の追徴課税は不当じゃないかと言っています。
これに対して、国税局は「特別な事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で
評価されることが許される」と言っているのです。
これは、財産評価基本通達の第6項にある「通達の定めによって評価することが著しく
不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」との
例外規定があるからです。
今回の問題点の一つは、このケースが「特別の事情」にあたるかどうかということです。
どういうことかと言いますと、この評価額の見直しを可能とする規定ですが、
相続人側から見るとどのような基準で適用されるのかがわからないのです。
極端に言えば、税務署のさじ加減で「伝家の宝刀」が抜かれ、路線価による評価が
認められず、想定外の相続税を課されるリスクがあるとも言えます。
これが今後も通ってしまうと、富裕層の相続対策の根幹が変わってくる恐れも
あるのです。
個人的には、今回のケースでの相続対策(節税対策)は、「ちょっと露骨にやり過ぎ
だろう」とは思いますが、最高裁の判断も、この評価額の見直しをする基準を
示してくれればありがたいなと思います。
この判決は、明日の予定です。