認知症と不動産売却について その1
親がもし認知症になったら?
意思能力とは?
意思能力ってなに?
高齢化社会において、老老介護とか親がもし認知症を発症してしまったらと
いうことが、大きな社会問題になっています。
現在の医学では、圧倒的に患者数の多いアルツハイマー病など大半の認知症は、
ある程度進行を遅らせることはできても、治すことはできません。
認知症が進行していくスピードは、認知症のタイプや年齢などによって個人差が
あります。
公益社団法人「認知症の人と家族の会」の調査では、認知症の介護年数は
平均で6~7年となっています。10年以上という人も3人に1人強います。
これは、認知症を発症してから亡くなるまでの平均年数とも言えます。
介護が長期化すれば、心的な負担に加え、それに伴う経済的な負担も増えて来ます。
そこで、親名義の不動産を売却して資金を作ろうと考えるのが一般的です。
しかし、ここで大きな問題になってくるのが、「本人の意思能力」です。
親が元気なうちであれば、もちろん問題はありません。もっと言えば
たとえ寝たきりになったり、身体が不自由になったとしても、本人の
「この不動産を売却する」という「意思確認」さえ取れれば不動産の売却は
できます。
ここでいう「意思能力」とは、法的に言いますと
有効に意思表示をする能力のことをいい、具体的には自己の行為の結果を弁識するに
足りる精神的な能力のことです。
弁識とは理解すると言い換えてもよいかも知れません。
意思能力の有無は、問題となる行為ごとに個別に判断されます。
一般的には、10歳未満の子供や泥酔者、重い精神病や認知症にある者には、
意思能力がないとされています。
不動産の場合は司法書士によって「本人の意思能力がない」と判断されると
不動産の売却や子供への贈与(名義変更)もできなくなってしまいます。
先程述べたように、平均で6~7年もの間は、不動産を動かすことができなくなって
しまいます。
その場合の対処方法は、「成年後見制度」や「相続時精算課税制度」などがあります。
また、事前に備えておく「家族信託」や「贈与税がかからない方法」などを
次回以降の不動産ブログでお伝えしていこうと思います。