事故物件のガイドライン作成へ 国土交通省
国土交通省が、「事故物件」についてのガイドラインを年内に作成
ガイドラインの法的な強制力は?
前回の不動産ブログで、「大島てる」という事故物件情報サイトを記事に
しましたが、今回はそれに関連して国土交通省が、タイムリーに「事故物件」の
ガイドラインを作成するという新聞記事が出ましたので、それをご紹介します。
これは、国土交通省が、殺人事件が過去に起きたことがあるアパートなど
敬遠されやすい「事故物件」について、告知基準を明確にするための
ガイドラインの作成に乗り出すというものです。
今月から有識者検討会を開催し、年内の取りまとめを目指すそうです。
今までも、不動産業者に告知義務がありましたが、その基準が曖昧なところが
ありました。
例えば、30年前に自殺があった住宅についても告知しなければいけないのか?
その間に住人が何人も変わっていたとしても、、。
例えば、病死でも、死後何カ月も経って発見された場合は?
不動産業者は、お客様が嫌悪感を抱いたり、その事実を事前に知っていたら
物件を買わなかったというような心理的瑕疵の場合は、告知義務がありますが
その辺の線引きが、曖昧な部分もありました。
日本賃貸住宅管理協会の調査では、自殺者が出た物件については、
不動産業者の75%が告知していましたが、病死や事故死者が出た場合に告知する
業者は約60%にとどまっていたという結果が出ています。
国土交通省は、これらを踏まえて判例などを参照に、
「死後〇カ月以上たって住人が発見された場合は事故物件」など、できるだけ
具体的な基準を示す方針だといいます。
国交省は、過去にも「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を示しました。
このガイドラインが世の中に普及したことにより、昔のように敷金を入居者から
退去時に全額取り上げるようなことが出来なくなりました。
いまでは、ほとんどの大家さんが、敷金は基本的に返金するものというように
認識が変わって来ました。
このガイドラインというのは、法律ではありません。あくまで国土交通省が、
作成する「指標」です。
厳密に言えば不動産業者は、このガイドラインの内容に従う義務はありません。
しかし、ガイドラインは、裁判所の過去の判例をもとに作られますので、
「ガイドラインに従わなくても自由だし違法ではないけど、裁判になった
場合はガイドラインを参考に判決を下しますよ」ということです。
ですので、結局「原状回復をめぐるガイドライン」と同様に、実務的には
実質的な法的拘束力をもって、世の中に普及していくものと思われます。
そうなってくると、これから増えてくるであろう一人暮らしのお年寄りは
どうなってしまうのでしょうか?
先程の例のように「死後〇カ月経って発見された場合は事故物件」として扱い
告知義務が発生するとなったら、ますます大家さんは、お年寄りの
1人暮らしを敬遠してしまうのではないかと心配になります。
まあ、そのあたりのことは、有識者の方々が当然考慮して作成するでしょうけどね?