東京オリンピック自転車競技 ロードレース
東京オリンピック ロードレースについて
ロードレースとは?
「オール・フォー・ワン」のロードレース
2020年東京オリンピックのロードレースは、東京・武蔵野の森公園から
スタートし、そこから神奈川と山梨を通過して静岡の富士スピードウェイが
ゴールとなります。
男子244㎞、女子147㎞という長距離を走ります。
特に富士山麗をめぐる男子ロードレースは、本番前にして五輪史上屈指の
難関コースとの呼び声が高く、5つの山越えをし、スタート地点の海抜47mから
最高で標高1451m地点まで、自らの脚力でよじ登ります。
スタートからフィニッシュまで選手たちが登る標高差をすべて足すと、なんと
富士山よりも高い標高4865mにも達します。
しかも、200キロ地点を過ぎてから、急勾配の三国峠越えに挑みます。
選手たちは、6時間近くもペダルを回し続ける戦いを強いられます。
ロードレースの出場定員は、男子130人、女子67人。
出走者全員が、スタートラインから一斉に走り出し、10キロ地点までは助走区間で
10キロの本スタート地点でフラッグが振られた瞬間から、本気の戦いとなります。
勝負は、単純に一番早くゴールを通過した選手が優勝ということになりますが、
自転車のロードレースがマラソンと違うのは、個人戦ではないことです。
といっても、駅伝のようなチーム戦でもありません。
自転車ロードレースは、あくまで団体戦でありながら、たった一人を勝たせる
ために、他のチームメイトは与えられた仕事をこなすのです。
最も大切な任務は、自転車にとって最大の敵である風からエースを守る事です。
時にはペースメーカーとなったり、エースの自転車がパンクやチェーントラブルに
見舞われたら、自らの自転車を差し出すこともあります。
長時間の戦いですから、走行中に食事やトイレを済ませるためのサポートもします。
ペース配分や相手チームとの高度な駆け引きも、求められます。
つまり、数多く有能で忠実なチームメイトを揃えたチームが有利になるのです。
彼らの犠牲のもと、守られたエースが、最終局面で他チームのエースと勝負するのです。
これがロードレースの醍醐味です。
オリンピックの場合、各国に許される出場人数は異なります。
2019年10月の国別ランキングによって、1~5人の出場枠が配分されます。
強豪国のエースは、4人の補佐役を有し、弱小国のエースは、たった一人で
戦わなければならないのです。
我が日本は、国別ランキングでは男子45位と本来1枠しかもらえない順位でしたが、
開催国といくことで2枠が男子・女子ともに与えらます。
男子では、最大となる5枠を獲得したのは、ベルギー、イタリア、コロンビア、
スペイン、フランス、オランダの6か国です。
女子最大の4枠を獲得したのは、オーストラリア、ドイツ、オランダ、アメリカ、
イタリアの5か国です。
日本の代表監督が「完走さえ厳しい」と形容するほどの難関コースに2人で
挑むわけですから、上位入賞は非常に厳しいものがありますが、なんとか地の利を
生かして頑張ってもらいたいと思います。
自転車競技のロードレースに関して興味が湧いた方は、
漫画の「泣き虫ペダル」が有名ですので、ご一読を!
また小説では、近藤史恵さんの「サクリファイス」「エデン」「サヴァイブ」
「キアズマ」「スティグマータ」のプロロードレーサーを描いた本が
おもしろいと思います。
ロードレースのことがわかるだけでなく、ミステリーとしてもおススメですよ。