出迎え三歩、見送り七歩
出迎え三歩、見送り七歩の意味は?
本当のおもてなしとは?
日本には、いや日本だけに、「出迎え三歩、見送り七歩」という言葉があります。
井伊直弼の「茶の湯の極意」からきている言葉だそうですが、お客様をお出迎えする
ときには、三歩前に進み出て、お見送りする時には感謝の言葉をかけながら七歩外に
出ていくという、まさに日本のおもてなしであります。
たとえ、お客様がそれに気が付かなくても、姿が見えなくなるまで、頭を下げて
お見送りする、この行為に日本を訪れた外国人観光客が驚きと共に感激をして
日本文化のおもてなしの心を知るきっかけになるのだそうです。
この言葉の本来の意味は、身を乗り出してお出迎えし、お見送りをすることの
大切さを説いたもので、身を乗り出すことから、「身送り」の文字を使っているの
だそうです。
またお出迎えの「出」は、その行動が心から出ることであり、お見送りは、お客さまの
姿が見えなくなる位まで「身」を乗り出して、「お身送り」することで、単に
「お見送り」であってはならないのです。
ところで私、今から30年くらい前に1度だけトヨタの本社(愛知県豊田市トヨタ町
1番地)を仕事で訪れたことがあります。
当時は、まだ古い中学校の校舎のような佇まい(失礼)で、正直「これが世界のトヨタの
本社なのか?」と逆の意味でびっくりしたことを覚えています。
ある物件をトヨタさんに購入してもらう交渉に行ったのですが、商談が終わり帰る際に
タクシーを呼んで頂いて正面玄関にその担当課長さんがお見送りに来てくれました。
凄く広い敷地で正面玄関から敷地ゲートを出るまで、相当の距離がありました。
そのゲートを出る直前、同行していたある社長さんに「澤木、後ろを見てみろ」と
言われ、振り返って正面玄関を見ますと、豆粒くらいになったその担当課長さんが
まだ深々と頭を下げているのでした。
我々からすればトヨタは、物件を買ってもらったお客様です。
なのに、ここまでのおもてなし。
一生涯忘れることがない感動を覚えました。
これが、真のトヨタの姿、まさに「世界のトヨタ」と言われる原点なのだと
心から思いました。