意思能力とは?
認知症は意思能力がない?
不動産取引の必要性があるかないか?
高齢者との不動産取引で気を付けたいことがあります。
それは、その人に「意思能力」があるかないかです。
もし意思能力がない状態で契約をした場合には、その契約が無効になってしまいます。
意思能力とは、自分の行為の結果を正しく認識し、これに基づいて正しく意思決定を
する精神的能力のことだと概ね定義づけられています。
しかし、やっかいなのは法律上、意思能力のレベルについての具体的な基準はなく
一定の年齢以上の高齢者は一律に意思能力を有しないとする法律もありません。
もっと言えば認知症だからといって、直ちに意思能力がないということになるわけでは
なく個別の判断になります。
そのためその人が意思能力を有するかどうかを、各取引ごとに見極めなければいけま
せん。
裁判例などを見ますと、、、
・その不動産取引(売却、購入)の必要性とその理由
・売買価格の妥当性
・売買条件の相当性
などもひとつの判断基準になるようです。
相続人が複数いる場合などは、後から他の相続人から取引の無効を訴えられる例も
あります。
ある司法書士さんは、所有権移転時(決済時)や本人確認時にいくつか質問を
しています。
・生年月日を西暦と和暦で言ってもらう
・自分の干支と今年の干支を言ってもらう
・今日は、何月何日か?
などを聞いていますね。
もちろん今回の不動産取引についてもし売却なら
「浜松市○○町○○番のあなたがもっている不動産を売却することに了承しているか?」
ということも必ず聞きます。
高齢化社会が進み、意思能力がなくなって(認知症など)死亡するまでの平均は
約7~8年とも言われています。
その間は、成年後見制度などを使わない限り不動産取引はできなくなります。
意思能力が無くなってからでは実質何もできなくなりますから、遺言や家族信託など
早めの対策が必要となります。