漱石枕流とは?
漱石枕流の由来と意味は?
夏目漱石の漱石との関係は?
漱石枕流?枕石漱流?
漱石枕流(そうせきちんりゅう)という言葉をご存知でしょうか?
「石(いし)に漱(くちすす)ぎ流(なが)れに枕(まくら)す」
恥ずかしながら私は知りませんでした。
後からご紹介しますが、この言葉があの夏目漱石の雅号の元になっていたことも
初めて知りました。(笑)
本来は、「枕石漱流」(ちんせきそうりゅう)と言い石を枕にし、流れに口をそそぐと
いう俗世を離れて山中に隠れ住んで自由に暮らすという意味だそうです。
これは、昔の故事に由来します。
”西晋(せいしん)に才気・学問がたち勝っていた孫楚(そんそ)と言う人がいました。
楚は若いとき隠遁して暮らしたいという希望をもっており、宰相の王済(おうさい)に
向かって、「わたくしは石を枕とし、川のせせらぎで口をすすぐような、自然なままの
暮らしをしたいと思っております。」
と言おうとして、うっかり「石で口をすすぎ、流れに枕するような暮らしをしたいと
思っております。」と言ってしまったのです。
王済が「せせらぎは枕とすることができず、石は口をすすぐことのできるものでない。」
と冷やかすと、孫楚は、「せせらぎに枕するのは、俗事で汚れた耳を洗いたいからで、
石で口をすすぐのは、歯を磨こうと思うからです。」と負け惜しみを言い、とうとう
誤りを認めようとしなかったということです。”
結構いますよね?こんな人。(笑)
でも、これで漱石枕流という言葉になるのだから大したものですねー。
本題に戻りますと、漱石枕流という言葉は、上の故事からもわかるように
自分の失敗を認めず、屁理屈を並べて言い逃れをすること。
負け惜しみの強いこと。
という意味になるそうです。
文豪・夏目漱石の漱石という号は、この故事に基づいているといいます。
楚の負けず嫌いの性格が気に入ったのか、負け惜しみが強く、世に受け入れられず、
俗事を厭う、偏狭・孤高な性格・態度を、自負と自嘲をこめて、自ら名づけた
とも言われています。
最後に、当て字で「さすが」を「流石」と書くのも、この楚のうまい言い訳の故事から
来ているそうですよ。
負け惜しみの強いのも、ここまで来ると立派ですね。